大陸南部の支配権を握る都市国家メルカリの長。
かつて奴隷だった彼女が都市国家長に選ばれたのは、先見の明と巧みな交渉術に
よるものであった。また、天候と風向きを完璧に予測できることから、
特に船乗りや貿易商人たちから絶大な支持を得ていた。
身分や階級を重んじるグラ帝国に対し、アンバーは実力主義を徹底した。
貴賤を問わず腕の立つ人物を冒険者としてスカウトし、口が達者な者は商人に、
帝国から追放された海賊や荒くれ者は船乗りとして自身の勢力に加えた。
やがて都市国家メルカリの経済力が帝国を上回ると、アンバーは帝国の
元老院たちを買収し、帝国議会の発言権まで獲得するようになった。
しかし、その隆盛も魔族戦争を発端に衰えをみせはじめる。
勢力の対立よりも、中立的な立場を維持することによって経済的な利益を重んじる
アンバーであったが、グラ帝国の魔族を徹底的に排除する流れに逆らうことは
できなかった。
魔族戦争は、大陸全土を巻き込んだ大きな戦争となり、人間たちは勝利を収めることは
できたがその被害も大きく、また他のさまざまな要因から豊かになることはなかった。
金に困った冒険者たちは魔族だけでなく、自国の民たちまでにも乱暴を働いているようだ。
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